下駄
「あいたた・・・」
「どうした??」
「下駄の鼻緒が取れちゃった・・・」
カラクラ町の神社で夏祭りが開かれた。
そこに、あたしと一護は一緒に来ていた。
あたしは、お気に入りの浴衣を着て、夏祭りに来た。
一護は「おまえはすぐに迷子になる」とか言って、あたしの手を握って
先を歩いていた。
夏祭りは、たくさんの人が来ていて、あたしは人ごみにもまれそうになりながら
一護の手をぎゅっと握って、歩いてた。
そんなときに、いきなり下駄の鼻緒がやぶれて・・・
「どうしよう・・・」
「ともかく、人の少ないところまで移動するか」
「うん」
せっかくお気に入りだった下駄も、今年で終わりなのかな?
「ほら、乗れ」
「え!?嫌よ!」
「何、言ってんだ・・・素足のまま歩くのか?」
いきなり、一護はあたしをおぶろうと、腰を下げた。
あたしは、顔を真っ赤にして、嫌、嫌と抵抗するけど、一護は眉間に皺を寄せながら
「早くしろよ」とせかした。
周りはたくさんの人が居る・・・
でも素足で神社の人が居ないところまで行くのは疲れる・・・
「うん・・・わかった・・・」
あたしは、仕方なく、一護におぶってもらうことに・・・
「ねえ、一護・・・早く歩いてよね?あたし恥ずかしいよ・・・」
「うるせえ、おぶってもらって、そんな文句言うな」
半ば強引におぶられたような、感じだけど、何も言わないで、我慢、我慢・・・
周りの人たちはあたしたちを見て「何あれ」とか言ってみてる・・・
恥ずかしいよ・・・ってか、そんな見ないで!
顔を赤くしながら、あたしは一護の肩に顔をうずめた。
一護の肩は、暖かくて、結構広い・・・肩幅・・・広くなったね・・・
昔、一護とあたしがまだ幼いとき、あたしの下駄の鼻緒がちぎれて
足が痛くて、泣いてたら、一護が無言であたしをおぶってくれて・・・
そのときは、あまり肩幅は広くなかったけど、今はとっても広い・・・
お父さんの背中みたい・・・男の子って成長するの早いね・・・
昔とは違う肩幅にあたしは、少し寂しい感じがした。
「ほら、下駄見せてみろよ」
「うん」
神社で人の少ない、石段に座ってあたしは、一護に下駄を見せた。
ぼやっとした闇の中で、ざわめきが少しだけど、遠く聞こえた。
「ほら、これで結んだぜ」
「ありがとう」
一護は、あたしのちぎれた鼻緒を結んで、あたしの足に下駄を履かした。
なんだか、シンデレラになったような感じだった。
「どうだ?直ってるか?」
「うん、直ってる・・・ありがとう・・・」
にっこりと笑うと、一護は少し顔を赤くして「ああ」とだけ答えた。
本当に昔から、素直じゃないんだから。
あたしはクスリと笑って、一護の肩に体をあずけた。
一護は、ポンポンとあたしの頭を撫でてくれた・・・。
しばらくの間、あたしたちはこうしていた。
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