それは、ある日突然に来るもんだ。




両想い
ドキ。 そう心臓が鳴ったのは、ほんの2,3秒前だった。 俺は、ある男から目が離れなかった。 「でよ、マジ面白いんだぜ」 「へ〜、サイファーってすごい物知りなんだもんよ〜」 「流石」 ・・・・・・・・アイツの笑ってる顔・・・初めて見たかもしれない。 そう遠まわしから、風紀委員のやつらを見て、俺は顔がいつのまにか真っ赤になってた。 「ん?」 「サイファー、どうしたもんよ〜?」 「何事?」 「・・・・・いや、何もねえよ」 視線に気がついたサイファーは、俺の方を振り向いた。 けれど、俺はその前に、サイファーの視界から消えて、柱の後ろで隠れた。 「・・・っ・・・心臓が・・・バクバクしすぎだ・・・」 ぎゅっと、Tシャツの襟元を握り、ふぅっと一息ついて、俺はそのままフラーっと食堂に向かった。 「・・・はぁ・・・」 「美しいわ。あなた、完璧に絵になってるわよ」 「あ、キスティ・・・」 窓際の席に座った俺は、パスタをフォークに絡めながら、ため息をついていた。 そしたら、キスティスが俺に声をかけてきた。 相変わらず、キレイなブロンドの髪だな・・・。 「ここいいかしら?」 「どうぞ。」 「ありがとう」 キスティスはニッコリと笑って、そのまま俺の前に座った。 キスティスもまた、俺と同じパスタを持ってきていた。 「あなたが悩むなんて、不思議なことではないんだけど、どうしたの? 私で良かったら、相談に乗るわ」 「うん・・・なんかさ・・・胸がいっぱいで、食事がのどが通らなくて、なんか・・・頭もボーっとしてる」 「・・・・スコール・・・あなた、それ恋よ」 「え?」 ガタ。 そう言うと、キスティスはもうパスタを食べ終えて、食器を片付けるために、席を立った。 「スコール、その相手が誰かは知らないけど、がんばりなさい」 クスっと笑ったキスティスはそのまま食堂を出た。 「恋・・・か・・・男に恋・・・キモチワルイって思われるかな」 ほとんど、覚めかけている残りのパスタを口に運びながら、俺はまた一人で考えていた。 一人でご飯を食べ終えて、俺は学生寮に戻ろうと思い、学生寮の廊下を歩いていると・・・ アイツが、柱のところに寄りかかっていた。 「サイファー・・・」 「よう、スコール」 俺は、ビックリしてまた心臓がバクバク言いはじめた。 やばい・・・心臓が張り裂けそうだ・・・顔がだんだん赤くなってきて・・・ 俺は、その場で固まってしまった。 カツカツ・・・ ゆっくりと近づいてくる、サイファー。 俺は、サイファーの目さえも見れなくて、そのままうつむいてしまった。 ダメだ・・・早く・・・早くどこかへ行ってくれ!そうしないと、俺の心臓の音が聞こえるから。 カツ・・・カツ・・・ ドキドキ・・・・・・・ 心臓の音と、サイファーの靴の音がほぼ同時に聞こえた。 そして、サイファーが、俺の目の前で立ち止まったのがわかった。 「サイ・・・・!?」 ガシっ!ダン!!! 突然、サイファーは俺の肩に手をやり、を壁に叩き付けた。 「っ!!何をするんだ!?」 「てめえ・・・いつもコソコソと俺を見やがって・・・ケンカでも売ってるのかよ?」 「ち、違う!!」 「じゃあなんで、コソコソしてんだよ?おまえらしくねえ・・・」 「・・・それは・・・」 ビックリするほど、サイファーの声は低くて、いつものサイファーじゃなくって どこか怖かった。だから、サイファーとは視線を合わせられなくて・・・。俺はうつむいた。 なんで、こういうふうになるんだ?なんで、誤解が生まれるんだろう? もう・・・いいじゃないか。素直になって。自分の思ってることを彼に言おう。 そしたら、お互いすっきりするし、俺は軽蔑されるかもしれないけど、それでも別に良い。 だから、言おうじゃないか・・・「アンタをずっと好きだったから見てたんだって」 プライドの高い俺なのに、今回だけはすんなりと答えを言おうと思った。 サイファーの腕をぎゅっと握って、俺は、サイファーの目をしっかり見て、口を開いた。 「アンタをずっと好きだったから、ずっとアンタを見てたんだ」 「・・・・・え?・・・おまえ、なんて・・・?」 「・・・・・・・・・アンタをずっと好きだったんだ、サイファー」 「・・・・・・」 沈黙が流れた。 サイファーは目を見開いて、俺を見てる。 だんだんと、力が緩くなっていくサイファー。あぁ・・・やっぱり嫌われたな。 男が男に惚れるなんて、キモチワルイもんな。 嫌われてあたりまえだ。 そう思って、俺は口を開こうとしたとき、サイファーが先に口を開いた。 「ったく・・・唐突すぎるんだよ・・・」 「え?」 「・・・・てめえは・・・本当に俺がずっと言おうとしたことを先に言いやがって・・・」 「・・・サイファー?」 「おまえも鈍いな、本当に・・・スコール・・・」 ギュっ。 何が起きたのかよくわからなかった。 気がつけば、サイファーは俺を抱きしめて、うれしそうに笑っていた。 これって・・・夢じゃない?? 俺はよくわからないまま、固まってしまった。 「俺も・・・ずっとおまえのことが好きだったんだ。スコール」 耳元でささやかれる声、一つ一つ、理解しようと単語を頭の中で並べた。 『俺も・・・ずっとおまえのことが好きだったんだ。スコール』 ってことは・・・これは両想いってことか?? やっと理解できたら、俺は瞳から大粒の涙を流していた。 「スコール!?」 サイファーが心配そうに俺を見てくれた。 「う・・・別に、何にもないんだ・・・目にごみが入っただけで・・・」 「そうか・・・」 サイファーは笑って、俺の頭を撫でてくれた。 それがうれしくて、俺は目を細めた。 この日、俺は全然眠ることなんてできなくて、うれしさがいっぱいで、胸がいっぱいになっていた。 両想いだったなんて、お互い知らなかったし、お互い両想いだったなんて、とってもうれしかった。 なあ、サイファー・・・これから、俺たちはずっといっしょだよな。 2006年9月22日  Girl Cute
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