第一回 「光神話 パルテナの鏡」 任天堂 ファミコン・ディスク ファミリーコンピュータ・ディスクシステム。発売当初から名作を連発し、それらがわずか500円で手に入る革命的ハード。 その先陣を切った名作アクションゲームは今も語り継がれる傑作が数多くあります。 「ゼルダの伝説」「悪魔城ドラキュラ」「メトロイド」「謎の村雨城」「スーパーマリオブラザーズ2」……。 それらの傑作の中に、「パルテナの鏡」というゲームもありました。 残念ながら歴史の片隅に消えていきましたが、傑作の予感はさせていたのです。 まずゲームを始めると、素晴らしいオープニングBGMが出迎えてくれます。 私はここで10分ほど足止めを食らいました。あまりにBGMの出来が良すぎたのです。 タイトル画面のBGMのよさで有名な「ゼルダの伝説」「ウィザードリィ」を凌駕する、 おそらくファミコンゲームのタイトルBGMではベストワンにノミネートされる大傑作です。 最初のステージのBGMもタイトルのイメージを踏襲した名曲です。 「スーパーマリオブラザーズ」を世に出し、アクション全盛時代の任天堂が出しただけあって操作性も快適です。 ……ではなぜ、この「パルテナの鏡」は世に受け入られることなく消え去ったのでしょうか? あまりにも難しかったからです。 ステージは「冥府界」「地上界」「天空界」に別れ、それぞれ3ステージと砦。そして最終ステージの全13面。 このうち、最初の冥府界の難易度は凄まじいものがありました。 前半三分の一の難易度としては「悪魔城ドラキュラ」「スーパーマリオ2」を超え、「魔界村」に匹敵するものがあったのです。 見つからないように隠れて撃つべき敵が隠れる場所のない一本道の通路に待ち構えていたり、 地面からわいて出る敵がいるのに床は1マスしかないので出たら絶対にダメージを食らうなどの、 「スーパーマリオ2」のDワールド級の難しさがステージ1からてんこもりです。 さらに、主人公のピット君は翼の生えた天使なのですが、なぜか穴に落ちると即死します。 アイテムを買うとやっと一回だけ飛べるようになりますが、時間制限が厳しいため地面まで復帰する前に再度落下することもありました。 人類に例えれば、スペランカー・カラテカ・コンバット越前などと同格です。 やけにエキセントリックなBGMが、それまでの重厚なBGMとえらいギャップを見せ、 画面に表示される「ヤラレチャッタ」の文字がプレイヤーの神経を逆撫でします。 しかも残機設定はなし。よって、ある程度ステージを踏破したところで復活するポイントもなし。 あと少しというところで穴に落とされたときの絶望感といったらもう……。 しかし、それでもいいんです。 面白いゲームなんですから。難しくてもやる気が出るってもんです。なんたってBGMが素晴らしい。 問題は、冥府界をクリアした後です。 このゲームのBGMに惚れ込み、驚異の難易度を突破してきた勇者たちは、地上界に出た瞬間に異口同音に言うことでしょう。 「……なに、これ?」 BGMは単調、アクションは簡単すぎ。 これは同じゲームなのか、真面目に作っているのか、そもそも出すステージの順番を間違えたのではないかという疑問が次々に浮かんできます。 また、ここから使えるようになるアイテムに異常に強力なものがあり、簡単さに拍車をかけています。 天空界にたどり着いても状況は変わらず、最終ステージはいちばん簡単でした。 素晴らしいBGMと強烈な難易度、そして挑戦意欲をかきたてるゲーム性は最初の部分にしかなかったのです。 エンディングで哀れメガネハナーンにされたピット君を見て、がっくりと肩を落としたプレイヤーも多くいたことでしょう。 そして、タイトル画面から冥府界までを残して、地上界以降を作り直した新作を待ち望んだものです。 「大乱闘スマッシュブラザーズ」でも、ピット君の復活はありませんでした。 回顧ブームのあまり、「パルテナの鏡2」が任天堂のハードで帰ってこないものか…… 私は、真剣に願っているのです。 オススメ度:☆☆ 続編期待度:☆☆☆☆☆