第二回 「ファミリースタジアム」シリーズ ナムコ ファミコン 有名かつ評価も高い、万人が認める名作です。 今でこそ「パワプロ」にその座を奪われましたが、昔は野球ゲームといえば「ファミスタ」のことであり 毎年活躍した選手の名前はこのゲームで覚えたものでした。 全く知らなかったパ・リーグの選手がトレードでセ・リーグにやってきたとき、 ファミスタでの能力が高い選手ならすぐに名前を思い出したものでした。 長い歴史を持つシリーズですが、その歴史は「やれることが少しずつ増えていった」というものでした。 初代ファミスタでは、現実の12球団全てが入りきらなかったのか、南海・近鉄・阪急が鉄道連合レールウェイズ、 日本ハム・ロッテが食品連合フーズフーズとなっていました。 (子供心に「Fチーム」はフーズフーズなのだと本気で信じていた時期もありました。そのくらい影響力があったのです。) ピッチャーは、まずマウンドの位置を決め、投げる球の速さを決め、ボールが手から離れたら左右にコントロールします。 カーブとスライダーの区別はありません。また、チェンジアップとフォークボールを意図して投げ分けることはできません。 ナックルやスクリューボールは存在しません。 バッターはバットを振るだけです。 球筋を見極めて、途中でボールと判断して止めることは不可能に近く、振り抜かなければ確実に凡ゴロです。 この非常にシンプルなゲーム性ゆえに、攻略方法は「全力で投げ、来た球を打つ」という真っ向勝負となりました。 バットに当たる直前でボールを少し左右に動かせてミートポイントを外して凡打にさせたり、 バットを振る一瞬のタイミングで左右に打ち分ける広角打法を身につけたり、 バットとボールが当たった瞬間に球場のどの場所にどんな打球が飛んでいくか判断して野手を移動させたり、 とにもかくにも修行あるのみ。攻略本を読んだだけでは絶対に勝てません。 それだけに、上手くなったときの楽しさ、いい勝負ができる友達との試合の楽しさは計り知れないものがありました。 続編となる87年度版からはチームが増えたり、チームエディットができたり、守備能力が設定されたりされましたが 基本となる「投げて、打つ」部分はほとんど変化せずに続いていきました。 しかし……スーパーファミコンの登場とともに、気付かない方が幸せだった事実が明らかになりました。 長きに渡って楽しんできた、いわば完成され尽くした操作形態は、ハード能力の制約上そうなっていただけだったのです。 「スーパーファミスタ」では選手の動きのアニメーションも増え(代わりに、これまでとはタイミングが違う)、 グラフィックもきめ細かくなり(代わりに、これまでとは細かい判定が違う)、 ボールの高低の概念がついたり変化球の種類が増え(代わりに、これまでのバットコントロール技術が役に立たなくなった)、 確かにやれることは今まで以上になりました。たぶん、現実にも近づいたのでしょう。 しかし「ファミスタ」を楽しんでいる人間は、「リアルな野球」よりも「ファミリースタジアム」を求めていたのでした。 「ファミスタ」と動きが違う。 ただこれだけのことが新シリーズを葬り去るに足る理由だとは、たぶんナムコも想像していなかったでしょう。 しかし現実にはそうでした。なぜなら、「ファミスタ」と動きが違う、「ファミスタ」よりいい動きをしていない、 それを理由にファミコン野球ゲームのほとんどは無視され続けたのだから。 黄金のシンプル・イズ・ベストを捨てた瞬間に、ナムコは黄金時代をも捨ててしまったのでした。 ……かくして「スーパーファミスタ」は人気は出ず、かといって「ファミスタ」の続編が出るわけでもなく、 時代は「パワプロ」のものとなりました。 今や伝説の中に名を残すのみとなりましたが、エミュレータでデータを改造し、 最新データの「ファミスタ」を作ってしまう人もいるのだそうです。 基本的には同じですが細かい手触りは違うので、できれば92年度版をベースに「ファミスタ2001」をプレイしてみたいものです。 余談。 「ファミスタ92」には打撃練習と守備練習ができます。 この内、守備練習はなかなか熱いです。 打った瞬間に三遊間真っ二つとかフェンス直撃とか、絶対にヒットになる当たりでも容赦なく守備失敗と見なされる 過酷なモードですが、守備が上手くないととても勝ち抜けないので高い守備率を目指して奮闘したものです。 私の最高記録は、Dチームを使って92%です(50回中46回成功)。 星野監督から「うしわかまると よぼう」と言ってもらえたときは本当に嬉しかったのを今でもはっきりと覚えています。 オススメ度:☆☆☆☆☆ 続編期待度:☆☆☆☆☆