第三回 「悪魔城伝説」
 コナミ
 ファミコン


史上最高のゲームは何か。
新しいゲームは美しいグラフィックに音声、大容量で「仮想現実」とさえ言われるリアリティを示してくれます。
昔のゲームは、容量の限界を技術でカバーする職人芸が幻想の世界を楽しませてくれます。
日本だけでなく、海外のゲームは独特の味を持っています。
果てしない数のゲームがありますが、中でも社会的意義の大きさ、ゲームが一番ゲームらしかった時代を考えると
日本のファミコン全盛期が最良の時代だったのではないでしょうか。

それでは、ファミコン史上最高のゲームは何でしょうか?
スーパーマリオ、ドラゴンクエスト…… 数々のゲームの名が挙がり、結論は出ないでしょう。
最高の座にふさわしいゲームが多すぎるのです。なんと言う幸せな時代だったでしょうか。
ベスト1を決める事は私にも不可能です。それなら、上位10本を挙げてみましょう。これも頭を悩ませますが……
その中に、ほとんどの人が名を連ねるであろうアクションゲームの傑作シリーズ「悪魔城ドラキュラ」。
当時の限界と思われる美しいグラフィックと音楽でプレイヤーを魅了し、驚異の難易度で葬り去っていきました。
現在も続編が出ている、ゲーム界に名だたるビッグタイトルです。
そのドラキュラも、二作目で当時人気のRPG要素を取り入れアクション部分をおろそかにしたため
呪いでもかけて封印したくなるほどの大崩壊をやらかしファンの怒号を浴びましたが、
三作目で原点に立ち返り、アクション重視の傑作を完成させました。それが「悪魔城伝説」です。

主人公のラルフはベルモンド家伝統のムチ使い。
ボタンを押してからジャンプをし、ムチを振る動作の的確さにおいてはベルモンド家随一です。
(シモンは固く、リヒターは柔らかすぎるんですね)歴代最高の操作性を持ち、彼一人いればゲームクリアが可能です。
せむし男のグラントは通常武器が飛び道具という恐ろしいキャラです。
アイテムを取ればナイフと斧の2種類の飛び道具を使い分けられ、ジャンプ力があり足が速くて壁に登る事ができる
素晴らしい性能です。最強キャラの呼び声も高いです。
魔法使いのサイファは移動能力は普通で防御力は低いですが、魔法の破壊力は強烈な対ボス用のキャラです。
通常攻撃の杖もリーチこそないものの、連打能力はラルフを上回るのでなかなかのもので、
実は通常の場面でも活躍できるキャラです。最強説も根強いです。
ドラキュラ伯爵の息子アルカードは文句無しの最弱キャラです。
「拡散ショットを全部当ててもラルフの方が減る」「階段で弾を撃てないのは狂気の沙汰だ」
「歴代最高のゲームだ。でもアルカード使うとドラキュラU以下」など絶大な評価を受け
一躍大人気キャラになりました。
彼を使うだけで、ただでさえ難しいゲームの難易度を一気に跳ね上げ、腕に覚えのあるプレイヤーも楽しめます。
最終ステージ直前の、最大の難所と言われるところをクリアした時は興奮で夜も眠れませんでした。
続編では主人公に抜擢され、己の無力さを悟ったか武器と魔法で完全武装。
悪魔城伝説の時からそうしておけという声が全国であがりました。

ステージ構成も秀逸で、あるキャラで難しかったところも別のキャラであれば難なく突破できたり(特にアルカード)
キャラによって別の攻略が必要になったり(特にアルカード)、キャラを替えるだけで何度も楽しむことができます。
極上の操作性に支えられたアクションは何度プレイしても飽きることはなく、アクションゲームとしては
最高峰の完成度でしょう。一部アルカードには突破不能と思しき場所がありますが。

しかしドラキュラシリーズは、悪魔城伝説を最後に姿を変えていきました。
PCエンジン、スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーションへと戦いの場を変えるたびに
「あのジャンプ」が、「あのムチ」が、「あの武器」たちがドラキュラからなくなっていきます。
代わりにスライディングができ、ムチを壁にかけてぶら下がり、空中でジャンプができ、
最後には魔法やアイテムを集めて強化できるようになりました。
もはや、かつての床ぎりぎりからジャンプして穴を飛び越えたり、ゆったりと飛ぶコウモリを
ムチの一撃ではたき落とす職人芸は戦場から姿を消していたのです。

それはドラキュラだけに限りませんでした。
様々な名作の後継者たちは、美しい画像や音声と引き換えに操作性を放棄してしまいます。
RPGが、対戦格闘ゲームが、恋愛ゲームがアクションゲームの居場所を狭めていきます。
ポリゴンを使った3Dのアクションゲームの登場は、それまでのアクションゲームを
過去の存在に追いやってしまいました。
悪魔城伝説のようなゲームは、もはや望んでも手に入らない時代が訪れたのです。

目の前に存在した現実が伝説になってしまう。
自分と共に歩んでいたはずなのに、いつのまにか永遠のものになっている。
そしてダッシュジャンプで何画面も飛び越え、アイテムを使っていつでも空を飛ぶ事ができるのに
歩き出して半歩で止まる事のできない主人公に触れるたびに、かつての記憶はより光を増していくのです。


オススメ度:☆☆☆☆☆
続編期待度:☆☆☆☆☆



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