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第二十二章;「カオスのような部屋でダンス」


 新宿南口。相変わらずの人の波、波、波。待ち合わせ場所でLを待つ間、流れる人の動きを目で追う。なんか音楽だなあと思った(その全てが)。その後、タイ料理屋へ。料理人が変わってから、恐ろしく辛くなった(筈の)ソムタムを食べる──が、あまり辛くない。舌が慣れたのか。それから鶏肉のジンジャー・ライス。店の片隅に飾られた妙にアシッドな祭壇みたいなのをぼんやりと眺めながら喰う。美味い。で、あの祭壇は何だ。その後はビレバンで「Mineral」を買うべく足を運んだのだが、品切れだった。雨を思わせるすっきりとした匂いがするので気に入っているお香だ。夜に逢う予定のミライへのクリスマス・プレゼント(オリエンタル・カレー)を買う。たかがカレー粉をラッピング用にして貰う。鼻で嗤われる事を期待しつつ(──が、実際は大喜びされたので、完全に失敗した)。店にあったシュヴァンク・マイエルやユーリ・ノルシュテインのDVDを友人Lに薦めたりしつつ、店を後にする。タワレコでまたCDを買う。ロック、アンビ、サイケ、ダブ、ブレイクコア、インダストリアル、D'N'B、4×4等ジャンルはバラバラ。ポイントカードが一周したので一枚タダに。今月入って二周目の勢い(さすがにやばい)。実験音楽やら音響が入ってるフロアの奥でこっそり写真を撮る。東京タワーが見えた。青と紫と薄桃のグラデーション。Lを呼び「東京タワーが見えるよ」といったら同じく写真を撮り始めた。同じ構図から撮っても、まったく違うものになるのが面白かった。歩き疲れたので喫茶店へ。だらだらと紅茶を飲みつつダベってたら、ミライから連絡が入る。「今何処?」と訊かれたので、喫茶店に居る、と店の場所を云う。「そこ通るから捕まえる。部屋来なよ」と云われたので、Lが居るし悪いなあ、どうしようかなあと思ったが、まあいいかと思い、待つ。交流が増えるのはいいことだ。5分程でミライが来たので、三人で喋る。ミライは相変わらずの機関銃トーク。スイッチが入ると停まらなくなる。初対面のLは大丈夫だろうかと心配になったが、二人は「三人兄弟の末っ子」という共通のアレで何やら意気投合して盛り上がっていた。まあ、良かった。その後、Lと別れ、ミライ の部屋(超カオス)でマシンやらアカウントの設定をする。持参してきたCDを焼く。轟音でAphexTwinのライヴ盤を流す。ネットから落とす(以下ループ)。その間、ミライはカオスの様な部屋で踊っていた。週三回、HIP-HOPとハウスのダンス・レッスンに通ってるらしい。痩せているが、筋肉がついたといっていた。「せっかく好きなように踊れるようになってきたから、クラヴ行きたい」というので、その内に行こうと話す。その後、東口を彷徨い、定食屋に入る。豚肉生姜焼き定食──昼食に引き続きまたもや“ジンジャー”だった。そして、帰り道“この真冬にコートを着ていない”という格好に凍える。吐き気がする程に寒かった。空から雪が降ってくるんじゃないかという程に。あの雪の夜特有のやけに深いダーク・グレーの空。憐れんだミライが陸軍用のコートを貸してくれた。「持ってっていいよ。あげないけど」と笑われる。人に服借りて帰るって初めてだ……。「バイク乗ってる時使ってるから暖かいよ」と云ってたが、なるほど確かに風を全く通さない。ありがたいなあ、持つべきものは友だなあと思いつつ、帰宅した。駐禁(チャリの)とられてた。──で、今は頭が痛い。風邪をひいてしまった。
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